研究

国産ハーブ「クロモジ」のエキスがウイルス増殖の初期段階に作用

看護師らの試験で、
インフルエンザの感染を抑えました。

クロモジを煮出して抽出したエキスには、抗ウイルス作用があることが報告されています。2018年に愛媛大学医学部らが135名(1名脱落)を対象に行ったヒト試験において、クロモジエキス摂取群は、プラセボ群に比べてインフルエンザ罹患率が78%少なかったことを確認しています。

クロモジエキス群でインフルエンザ感染が減った

インフルエンザワクチンを接種した看護師ら男女134名を2グループに分け、それぞれクロモジエキスを配合した飴と、クロモジエキスを配合していないプラセボ飴を1日3 回、12 週間毎日摂取してもらったところ、インフルエンザ感染者数は、前者が2 名、後者が9 名で、クロモジエキスを摂取した群の方が有意に少なかった。
出典:Igase M. et al., Jpn Pharmacol Ther. 2018,46(8)1369-73

ウイルス感染の増殖ステップとクロモジエキスの作用点

インフルエンザウイルスの増殖ステップは、上気道の上皮細胞に付着してから、「吸着」→「侵入」→「複製」→「組立て」→「放出」されます。
その後、別の細胞に感染を広げていき、1個のウイルスが数百万倍に増殖することがわかっています。
それぞれの増殖ステップの所要時間として、ウイルスが細胞に触れてから吸着まで20分、細胞内に侵入するまで90分かかるとわかっており、これをもとにクロモジエキスがウイルス増殖の、どのタイミングで作用するのかを時間帯を区切って調べたところ、ウイルス感染から1時間までの間でウイルスの増殖を99.5%以上抑制することがわかりました。

ウイルス感染の増殖ステップとクロモジエキスの作用点

ウイルスを感染させる1 時間前(「-1 ~ 0 時間」を参照)に、クロモジエキスを細胞に作用させ、その後クロモジエキスを取り除いてウイルスを添加したところ、ウイルス増殖が有意に抑えられた。ウイルス感染開始から1 時間後まで(赤い矢印部分、「0 ~ 1 時間」を参照)にクロモジエキスを細胞に作用させると、ウイルスの増殖を99.5%以上抑制した。その効果は「-1 ~ 0 時間」よりも強かった。
出典:Kawahara T. et al., Jpn Pharmacol Ther. 2020,48(8)1357-71

クロモジエキスの作用点

クロモジエキスの作用点

細胞表面を染色し、ウイルスの吸着を確認

細胞の表面のウイルスを染色した試験でも、細胞とウイルスを接触させた直後にクロモジエキスを加えると、細胞への吸着が抑えられていることがわかります。

細胞表面を染色しウイルスの吸着を確認

赤く見えるのは、細胞表面に吸着したウイルス(左)。クロモジエキスを細胞に作用させると、吸着したウイルスはみられなくなり、クロモジエキスが、細胞へのウイル
ス吸着を抑えたことがわかる(右)
出典:Kawahara T. et al., 第37 回和漢医薬学会(2020)