大台町の洗練されたクロモジ製品

三重県多気郡大台町(おおだいちょう)はユネスコエコパークに認定されている、多様な生態系が活きる森にあります。町土の約90%以上が森林を占める、緑豊かな土地ですが、宮川森林組合では10年ほど前から、今後どのようにこの森を維持していくかの検討を始めました。
大台町と宮川森林組合が協力し、森の資源を活用する取り組みとして生み出したのが、クロモジ、タムシバ、カナクギノキなどの広葉樹から精油や蒸留水を抽出し、それらを原料にした「Odai」ブランドです。写真はクロモジの香りを空間に漂わせる「ディフューザー」。クロモジの枝を大胆にあしらうことで、森の香りを演出します。洗練された製品群は都会で生活する人からも支持を得て、新しいブランド「cokage」では石鹸やエステクリームなど、美肌の領域に歩みをすすめています。
大台町の山は険しく、原料を手に入れるのは相当の苦労です。また、森林組合が森を傷つけるわけにはいきません。資源が残るように採取するのも知見が要ります。精油づくりも一から始めなければなりません。森や木を熟知する人がいてこそのチャレンジでした。
「Odai」には、大台町の森づくりに携わる人々の思いが込められています。2020年4月より、製品の製造・販売をサカキL&Eワイズ社に引き継ぎ、森林組合は原料の製造に専念することにしました。製造力と販売力を強化したOdaiブランドの今後が楽しみです。
森林のエキスパートが原料を確保

山に入って原料を集め、精油を蒸留するのは宮川森林組合の中須さん、森さん、高瀬さん。森さんは山岳遭難救助隊も兼ねる森と木のエキスパート。ゼロベースから上質な精油を作れるようになったのは森さんの知見があってのこと。高瀬さんも元々は、木々を伐採する現場にいらっしゃいましたが、今はモノづくりの奥深さと面白さに目覚め、精油の蒸留器に目を光らせていました。都会にいても、大台町の森を感じてほしいと、ディフューザーの三本の枝の選抜にこだわります。そして、この個性的な二人をまとめるのが中須さん。従来の林業の枠を超えた新しい取り組みを実現してきました。
製造・販売は事業社が引き継いで強化


サカキL&Eワイズ株式会社は、大台町から車で40分ほどの松阪市にある製造会社。医療機器の製造・販売と、化粧品・医薬部外品の製造を主な事業としています。現在、同社でOdaiを担当する岡本宏之さんは、実は宮川森林組合で、中須さんらと同ブランドを立ち上げた一人でもあります。原料製造の現場にも明るく、森林組合の思いを汲んで、製造・販売の強化、そして新商品開発にも意欲的に取り組んでいます。
この方にお話を伺いました
宮川森林組合
中須真史さん・森正裕さん・高瀬和幸さん
サカキL&Eワイズ