生活

クロモジの香り成分「リナロール」の魅力と効果

クロモジ精油に含まれるリナロール

クロモジは、初夏に向けて精油量が増加していく傾向にあります。
クロモジは、初夏に向けて精油量が増加していく傾向にあります

古くから多くの人々を魅了してきたクロモジの香り。この爽やかでフローラルな香り成分のもとは一体何でしょうか?

アロマテラピーで使用する精油は、植物がもつ香りの成分=芳香物質を取り出した有機化合物の集合体。このことからも香りや精油のもつ効用をイメージできます。成分を知ることは、植物が生命を営むために用意した力を、ありがたく活用するヒントになるともいえます。
この香り成分は、植物全体に均一に含まれているわけでなく、それぞれ特有の部位に蓄えられています。そのため、同じ植物でも抽出する部位により、精油成分や香りも変わってきます。クロモジも枝と葉、種類、採油の時期によっても成分構成が変わることが分かってきています。

アロマを代表するリナロールとその働き

ラベンダー

クロモジ精油は、「水蒸気蒸留法」という方法で抽出されます。原料と水を蒸留窯に入れ、蒸気と共に揮発した精油成分を冷却して再び液体にし、精油と芳香蒸留水(クロモジウォーター)の2層に分離させ、採油します。成分分析から、クロモジの多くは「リナロール」という成分が主な含有成分であることが分かっています。

リナロールは、心落ち着くフローラル調の香りが特徴で、ラベンダーやローズウッド、イランイラン、ベルガモット、スイートオレンジといった、アロマテラピーの中でも人気の高い香りにも含まれる成分。一般的にリナロールの作用として挙げられているのは、鎮静、抗不安、抗菌、抗炎症作用など。クロモジをはじめ、リナロールを含む精油には、これらの働きが期待できます。

高級化粧品・香水に使われるリナロール

蒸留中のクロモジ。 この過程で採れる芳香蒸留水は スキンケアにもおすすめ。
蒸留中のクロモジ。この過程で採れる芳香蒸留水はスキンケアにもおすすめ

そして、リナロールは芳しい香りであると共に、皮膚にも穏やかに作用することから、化粧品や香水にも用いられています。古来、人々を魅了してきたバラの香り成分「ゲラニオール」と共にリナロールは、良い香りがする世界トップクラスの香り成分とされています。

リナロールを主成分とし、香料として世界中から注目された精油「ローズウッド」は、その高い人気から絶滅危惧種になってしまったクスノキ科の植物。ローズウッドと同じクスノキ科であり、同等にリナロールを多く含むクロモジは、薬理作用+香りの芳しさにおいて、世界的にも需要が増してくると感じます。今後、更なる持続可能な栽培法・活用法が期待されています。

心地よいクロモジの香りでリラックス

香りの情報は脳の中ほどにある「大脳辺縁系」に瞬時に伝わる。
香りの情報は脳の中ほどにある「大脳辺縁系」に瞬時に伝わる

クロモジの香りを嗅ぐと、その瞬間に幸せな気分になりませんか。香りの快・不快、認知は「脳」で判断しますが、嗅覚は五感の中でも唯一“考える脳”「大脳新皮質」の認識を待たず、感情や記憶などを司る“情動脳”「大脳辺縁系」にダイレクトに伝わるのが特徴。そのため、心地よい香りを嗅ぐとリラックスできたり、穏やかな気分になるといいます。
さらに、香り情報は心身の働きを調整する「自律神経系」の中枢である視床下部へ伝わり、ホルモン分泌を整える「内分泌系」、細菌やウイルスなどから体を守る「免疫系」などに作用することが分かっています。

クロモジの香りの効果に期待

ノトノカブランドのクロモジ精油
ノトノカブランドのクロモジ精油

近年、このように香りが心身に影響を及ぼす精油の有用性、効果を明らかにする活動が盛んに行われています。
その中でも、興味深く感じたクロモジ精油による感情への影響、クロモジ芳香蒸留水の自律神経への鎮静作用に関する論文をご紹介します。わずかな量でも心身に作用するとのことなので、クロモジ精油配合のスキンケア・ヘアケア製品、日用品などの活用でもリラックス&幸福感が得られそうです。他にも抗ウイルス作用や睡眠への影響などの研究も進められています。
古来、私たちの心身を癒してきたクロモジ有用性のエビデンスに期待が寄せられます。

クロモジに関する論文紹介

クロモジでおうち時間を健やかに

クロモジ

昨今、自宅で過ごす時間が増えていますが、コロナ禍によってその傾向はさらに顕著になっています。そのような状況下で、暮らしの質を上げるために注目を集めているのがエッセンスです。

天然精油は、空間を素敵に演出するだけでなく、脳にダイレクトに働きかけることによる心身の健康維持や、精油の薬理効果による空間のリフレッシュなどが得意。クロモジも心地よい香りであると共に、細菌やウイルスの増殖を抑える抗菌、抗ウイルス作用、また心身をリラックスさせる鎮静作用などが示唆されているため、おうち時間を健やかに過ごす、心強い味方になります。

“クロモジマスクスプレー”という新習慣

外出時には“常にマスク”という新習慣に、マスクスプレーの活用もプラスしてみませんか?

お出かけ前にシュッとマスクの外側にスプレーするだけで、不快になりがちなマスク内の香りを爽やかにします。抗菌作用が期待できるクロモジは、マスクスプレーにぴったりの精油。同じく抗菌作用が期待できるラベンダーやティートリー精油などとは香りの相性もよいため、ブレンドもおすすめです。
同じレシピでルームフレッシュナーとしても活用できます。

クロモジマスクスプレー

・スプレー容器(50ml)
・無水エタノール 5ml
・精製水 45ml
・精油 5~10滴

【作り方】
❶容器に無水エタノール、精油を加え、よく混ぜてから水を入れ、完成。
❷よく振ってから、マスクの外側に2~3回スプレーした後に装着する。
※2週間を目安に早めに使用する。
※3歳未満の子供には使用しない。
※顔や目の周りにスプレーしないよう注意する。

クロモジマスクスプレー
クロモジマスクスプレー

手洗い後に“クロモジハンドクリーム”

手が荒れているとウイルスが付着しやすくなるため、手洗い後は保湿をしっかりすることも感染対策につながります。クロモジ精油には皮膚に穏やかに作用するゲラニオールという成分も含まれているため(バラにも含有)、ハンドケアにも期待ができます。保湿に有効なミツロウ、植物油と合わせて作る“クロモジハンドクリーム”は、癒し効果も抜群。また、クロモジ精油と「天然塩+重曹+クエン酸」を合わせて作る入浴剤“バスボム”もバスタイムを楽しく演出してくれます。

クロモジハンドクリーム

・容器(12ml)
・精油 2滴
・竹串(または爪楊枝)
A[・ミツロウ 2g ・植物油(ホホバやスイートアーモンド油など) 10ml ]

【作り方】
❶耐熱容器にAを入れ電子レンジで3~4分加熱し溶かす。
❷①に精油を加え、竹串で5~6回ゆっくり混ぜる。表面が固まれば完成。
※溶けた液体は熱いので火傷に注意。
※1か月を目安に使用する。
※3歳未満の子供には使用しない。
※清潔な手で使用する。

クロモジハンドクリーム
クロモジハンドクリーム
クロモジバスボム(発泡入浴剤)

A[天然塩、重曹各大さじ3 クエン酸大さじ1]
・精油 3~5滴
・ビニール袋 1枚

【作り方】
❶ビニール袋にAを入れて混ぜる。
❷①に精油を加えよく混ぜたら、ボール状に握って完成。
湯船に入れるとシュワシュワ発泡する。
※2~3日を目安に使用する。
※3歳未満の子供には使用しない。

クロモジバスボム(発泡入浴剤)
クロモジバスボム(発泡入浴剤)

この方にお話を伺いました

株式会社ジャパンライフデザインシステムズ所属
IFA認定アロマセラピスト 東京モード学園非常勤講師 
AEAJアロマテラピーインストラクター
葛和恵奈子さん

編集者として取材で出会った植物の豊かな力に魅せられ、アロマ&ハーブによる健康術&生活術を学ぶ。専門学校講師として、また地域のママ達に生活の知恵となるアロマライフスタイル術を伝えている。